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年代別の健康の守り方。 |
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| 厚生労働省の死亡統計は一番信頼できる統計です。人が病気あるいは事故で亡くなった場合には、必ず死亡診断書、または、死亡検案書が最寄の役所に提出されます。これは亡くなった人の人生でたった1回のことです。これがないと、死体を火葬することすらできないし、患者さんの家族や役所が直接目にするものなので、わかる範囲でかなり正確に記述されます。 それに対して、病院から提出される癌登録の統計や、社会保険事務局に提出される病名は、かなりいいかげんなものです。たとえば、癌登録に関しては、手術された胃がんでも、かなりたくさんの症例が登録されていないし、内視鏡的に切除された癌、ポリープ癌などに関しては、もっと高い確率で登録されていないという印象です。患者を一人一人に追跡するシステムも整備されていません。実は日本にきちんとした癌罹患率のデーターはありません。 また、社会保険事務局に提出される病名はいわゆる保険病名(治療や検査に対して保険の適用のない病気に対し、保険適用のある病名をつけること)がかなりの量で混じっています。しかも病院が違えば2重、3重で病名がつくこともあり、これをもれなくチェックすることなど、人手がいることですので、常識的に正確に行われるはずがありません。 だから、厚生労働省の人口動態の統計と大きな病院(たとえば国立がんセンターなど)のデーターをつきあわせ、罹患率を推定するしかありません。 あたりまえのことですが、死亡統計で列記される病名は、いずれも致死的なものであり、人に甚大な障害を起こすものばかりです。多くの病名が列記されていますが、漠然と眺めていても、自分がこの病気に対してなにをするべきなのかは、まったく見えてきません。 今回、厚生労働省の第1−26、27、28、29、30、31、32の表の統計からみえてくる事実をできるだけわかりやすく、実感できる形で説明していきます。 なお、資料がなくてもわかるように説明してあるつもりですが、できれば統計の資料をダウンロードしていただければ、一層わかりやすいと思います。 厚生労働労働省のホームページへ 年代別に病気を考えるのは当然のことです。30代や40代50代の働き盛りで一番問題になるのは、幼い子供など残して突然一家の大黒柱や死ぬことで、これは本当に困るだろうと思われます。80歳を超えて死ぬのは、悲しいことですが、社会的な影響は少ないでしょう。 一般に死因において、悪性腫瘍が三分の一、心臓と脳の血管の病気をあわせて三分の一、その他で三分の一といわれ、事実厚生省労働省の統計でもそうなっています。 健康を考えるとき、多くの人が、この数字をふまえて、自分の健康を考えていきます。しかし、この数字にはうそがあります。 90歳を超えて食べられなくなったからといって、多くの人が胃カメラをするでしょうか?また、下剤をたくさん飲むような大腸の検査を行うでしょうか?在宅で看護をしている場合、胸の写真すらとらないのではないでしょうか? どんな死に方をしようと、最後には心臓が止まるし、尿が出なくなります。また、末期の肺がんの症状は重症の肺炎と区別がつきません。このように考えていくと、80歳以上の超高齢者の死因の中には、癌とされない癌死の患者がかなり混じっている可能性が高いのです。 胃がんと診断するためには、胃カメラや胃透視などの検査が必要ですが、高齢者で検査もしていない場合、胃がんで死亡したのではないかと予想しても、死亡診断書にそのような病名を書くことはありません。検査をしていないために確証がないため書けないのです。超高齢者の多くの場合、診断書には老衰や心不全などの病名が記載されます。この病名は少なくともうそではなく、問題にされることもあまりありません。 厚生労働省の表1−27を見ると80歳以上の死亡は約45%程度であり、この中には癌死と診断されていない人がかなり含まれていると考えます。つまり癌で死亡する人は全体でみると、おそらく三分の一よりずっと多いのだろうと予測されます。 検査もできないほど全身状態の悪くなっている超高齢者の場合、癌であろうとなかろうと、臨床的にあまり意味はありません。たとえ癌があっても手術や抗がん剤投与など、なにもできないし、年齢から、家族も本人も死に対しての受け入れが既にできているからです。 問題は全体の統計的な数字がこの世代の死因に大きく引っ張られることです。最初にこの統計がかなり信頼性が高いと書きましたが、あくまで、死因が特定できる場合なので、この統計の信憑性は70代の統計までではないかと思われます。社会的に影響が大きいのもこの世代の死亡までだろうと考えます。 つまり、50代や60代、ましてや40代の人が全体の統計から健康を考えてもしかたがないのではないかと思われます。年代別に自分の危険性を計る必要があるのです。 下に厚生労働省の統計の一部をまとめてみました。総死亡のうち、がん死の比率が男性では50代から70代には男性では40%を超え、女性では40代から60代の50%以上ががんで亡くなります。心臓病死は男性では年代を問わず13−15%程度で、女性の心臓や脳血管疾患による死亡は年代とともに上昇します。
![]() 十万人単位ではわかりくいので、1学年1000人の男子高校生と1000人の女子高校生が高校を卒業してから、死亡でどのように同級生が減っていくかを考えていきます。 20歳 卒業して2年、二十歳になりました。卒業してから同級生で死んだのはバイクに乗って交通事故で死亡した男子高校生一人しかいません。5年毎に会おうと約束して別れました。 25歳 5年間で、男子では3人の同級生が交通事故や自殺でなくなりました。女子では2人がやはり事故と自殺で亡くなりました。 ![]() 30歳 5年間で、男子では3人の同級生が交通事故や自殺で亡くなりました。女子では1人が自殺でなくなりました。 35歳 5年間で、男子では4人の同級生が亡くなりました。2人が自殺、1人が交通事故、1人が癌でした。話題になりました。女子では、2人が亡くなりました。1人は自殺で、1人はやはり癌でした。乳がんの全身転移と聞きました。 40歳 5年間で、男子では5人の同級生が亡くなりました。自殺が2人、胃癌が1人、事故が1人、くも膜下出血が1人でした。女子では3人が亡くなりました。1人は大腸がんで、他は自殺と心臓の不整脈と聞きました。 45歳 5年間で、男子では8人の同級生が亡くなりました。自殺が3人、胃癌が1人、肺がんが1人、心筋梗塞が1人、事故が1人、くも膜下出血が1人でした。女子では4人が亡くなりました。3人が癌で亡くなりました。1人は乳がん、1人は胃がん、1人は子宮がんでした。他は自殺でした。 50歳 5年間で、男子は14人の同級生が亡くなりました。4人が癌、3人が自殺、2人が心臓病 1人が脳梗塞、事故で1人、他3人は不明でした。女子では7人の同級生が亡くなりました。4人が癌、心臓病は1人、くも膜下出血が1人、自殺が1人でした。 この時点で男子962人、女子981人になっていました。 55歳 5年間で、男子は23人の同級生が亡くなりました。8人が癌、3人が心臓病、自殺が3人、脳梗塞が2人、事故は1人で6人は不明でした。女子は5年間で11人が亡くなりました。6人が癌、2人が心臓病、脳出血が2人、自殺が1人でした。 60歳 5年間で男子は34人の同級生が亡くなりました。15人が癌、5人が心臓病、脳疾患が3人、自殺が3人、事故が1人、6人は不明でした。女子は5年間で15人が亡くなりました。7人が癌で、2人が心疾患、2人が脳疾患、自殺が1人、事故が1人、不明が2人。この時点で男子915人、女子955人が生存しています。 65歳 5年間で男子は47人の同級生が亡くなりました。21人が癌、7人が心臓病、脳疾患が4人、自殺が3人、事故が2人、10人は不明でした。女子は5年間で21人が亡くなりました。10人が癌で、2人が心疾患、2人が脳疾患、自殺が1人、事故が1人、不明が5人でした。 70歳 男子は5年間で、73人の同級生が亡くなりました。そのうちの34人が癌、10人が心臓病、脳血管疾患が4人。女子は5年間で35人が亡くなりました。16人が癌で、4人が心疾患、4人が脳血管疾患でした。 この時点で男子の同級生のうち795人が生き残り、女子は899人が生き残っています。ほかの死因は不慮の事故や肺炎などでした。、 75歳 男子は5年間に、109人が亡くなり、そのうち50人は癌で、14人が心疾患、7人が脳血管疾患、他は肺炎や不慮の事故などでした。女子はこの5年間に53人が亡くなり、そのうち癌は21人で、心疾患は7人、脳血管疾患は6人でした。他は男性と同様に肺炎や不慮の事故などでした。80歳 この5年で男子は150人が亡くなり、そのうち癌は55人で心疾患が20人で脳血管疾患が10人でした。女子はこの5年間で88人が亡くなり、そのうち癌は27人で心疾患が15人で脳血管疾患が14人でした。他は男女とも肺炎や不慮の事故などでした。 この時点で男子は536人、女子は758人が生存しています。 85歳 この5年間で男子は200人が亡くなり、そのうち癌は58人で心疾患が30人で脳血管疾患が14人でした。女子はこの5年間で150人が亡くなり、そのうち癌は36人で心疾患が29人で脳血管疾患が26人でした。他は男女とも肺炎や不慮の事故などでした。 90歳 この5年間で男子は212人が亡くなり、そのうち癌は49人で、心疾患が31人で、脳血管疾患が14人でした。女子はこの5年間で232人が亡くなり、そのうち心疾患が46人で癌は42人で脳血管疾患が42人でした。他は男女とも肺炎や不慮の事故などでした。この時点で男子は124人、女子は376人生き残っています。 働き盛りが、気をつけなければならないのは、やっぱり癌 これは、平成14年度の統計を基にしており、時代を考慮していませんので、ある人の同級生がこの割合で亡くなっていくわけではありません。しかし、今この世代に所属している人々に関してはかなり正確に死亡率を反映していると思われます。 死亡した人のバックグラウンドに、多くの同じ病気にかかっても生還した人の存在を考えると、寒気がします。癌や心疾患に罹患することは誰にでも起こりうることなのだという感じがします。そして、この統計をみると、働きざかりの人が最も気をつけなければならないのは明らかに癌です。もちろん循環器疾患などの動脈硬化疾患も大切ですが、今の医療のシステムは動脈硬化疾患にお金も人材も偏りすぎているような気がしています。では、具体的にはどうすればよいでしょうか?それぞれの疾患の特性を知り、自分で自分を守らなければなりません。ドックのコメントを無視してはいけませんが、必要以上に脅され、だまされてもいけません。ドックのデーターは重要な情報を含んでいますが、そう簡単に解析できるものでもありません。冷静に分析することが必要であり、そのためには、充分な知識が必要です。しかし、ドックのコメントを書いているのは、残念ながら一線級の医師ばかりではありませんし、患者さんの経過や治療歴をすべてわかってコメントしているわけでもありません。次は効率的に頻度の高いがんから健康を守る方法を考えていきます。 肺がん(男性の死亡原因の第1位、、女性の第 3位 ) がんの中で最も死亡数が多い。完治の率は約20%といわれている。早期発見はCTや喀痰細胞診を頻回に行わないとなかなか難しい。タバコを25本以上吸う場合の肺がんの死亡率は、吸わない場合に比べて約5倍-10倍(タバコの箱に書いてある2−4倍はかなりいい加減データーでありイヤな意図を感じる)である。肺がんにかかってしまったら5人に1人しか助からないことと、禁煙後、約5年から10年で死亡率は非喫煙者と同じくらいになることと、早期の発見が難しいことを考えると、できるだけ早めに禁煙することが最も大切である。一度発生したら、あとからリカバーしにくい癌である。 肺がんを恐れるならまず禁煙をすること。早期発見して手術ができたても50%は5年以内に死んでしまう。だったら見つけることより発生させない努力が重要である。逆にタバコを吸い続けるなら肺がんなどおそれるな、よっぽどのヘビースモーカーでも6人のうち5人は肺がんにならない。とにかく、タバコをやめることは肺がんに限らず、あらゆる癌を防ぐ基本である。 胃がん(男性の死亡原因の第2位、、女性の第 2位 ) がんの中で発生率が最も高い。胃の内視鏡を使えばかなりの早期の段階での発見が可能である。胃の粘膜(内張り)にとどまる段階の場合、完治率は95%以上である。1万例以上の胃カメラを施行したが、1年に一度以上胃カメラを施行している人で、手術不能胃がんだったことは自分自身は経験がない。胃カメラは患者の苦痛さえなければ、すべての胃の検査の中で最も優れている。胃がんとピロリ菌との関連も言われている。ピロリ菌の検査や除菌療法は胃潰瘍や十二指腸潰瘍でもなければ健康保険の適用はない。しかし胃がんの発生率を抑制するのにピロリ菌の除菌療法は有用な方法であると考える。 胃がんを恐れるなら、一年に一度胃カメラをうけること、胃がんの発生を抑制したければ胃潰瘍がなくてもピロリ菌の検査と陽性の場合には除菌をすること(除菌や検査の内容によるが自費でも5000円〜2万円程度) 大腸がん (男性の死亡原因の第4位、、女性の第1位 ) 直腸がんと結腸がんをあわせたものをいう。死亡は男性では肺がんと胃がんと肝がんについで多く、女性では胃がんについで第二位だったが、2003年に女性のがん死亡の第一位になった。ヒト便潜血反応は優れたスクリーニングである。被爆はないし、陽性率は約6−7%で、胃健診のバリウム検査や、ペプシノーゲン法に比べ、ずっと低い。この方法による進行がんの見逃しは20%であり、早期がんの見逃しは50%といわれる。これは小さな数字ではないが、確率からいえば6−7%の陽性群の中に、進行がんの80%と早期がんの50%が引っかかるということで、陽性者の約2−4%が大腸がんであり、陰性者では0.1%程度と低いため、1000人に1人の不幸な人を除けば、費用対効果は抜群である。大腸がん検診に限らず、健診において不幸なことは、陰性といわれた人が、自分にはがんがないと思うことである。100%の検査など存在しない。症状が続くようなら精査すべきである。陰性のグループとはがんの確率が低いということであり、確率が低くてもその確率にあたった人にとってはがんの確率は100%である。大腸の検査で最もすぐれているのは、大腸内視鏡であり、その精度は97−8%程度といわれており、大腸がんの頻度を考えると、もしスクリーニング検査に使用すれば、1万人ー3万人にひとり位程度に、大腸がんを見逃す程度であり、大腸がんの進行は比較的遅いことを考えると、論理的には2年連続で施行するなら、見逃しの確率は100万人に1人程度となる。なお、最近の研究では食物繊維をたくさんとっても大腸がんの発生率はあまり変化しないといわれているが、結局7-8割程度の大腸がんは治癒するので、早めに見つけることが大事である。 大腸がんが心配で、症状の無い人はまず便潜血検査を受けるべし、そこで陰性なら大腸がんの確率はとても低い。陽性なら大腸内視鏡や注腸バリウム検査などをうけること、それでも心配な人や、症状ある人は、便潜血の結果にかかわらず、大腸内視鏡をうけること。 肝細胞がん(男性の死亡原因の第3位、女性の第 4位 ) ほとんどの患者さんはC型肝炎やB型肝炎の患者さんであり、そうでなければ大酒のみである。肝硬変に進展してからの発生が多い。インターフェロンなどでウイルスを排除することが一番だが、できなければ肝硬変に進展させないことが大切である。トランスアミナーゼのGOTやGPTは肝機能jそのものをあらわすのではなく、単位時間あたりにどれだけの肝細胞が死んでいるかを示すため、この値を低く保つことが大切である。炎症が続き、細胞が死ななければなければ肝硬変にはならない。 肝細胞がんは肝細胞のウイルスが陰性ならさほど気にすることはない病気である。とにかく肝硬変に進展させないことがウイルス陽性者では必要である。可能な限り、インターフェロンを使いウイルスを排除すること、慢性肝炎の状態が長くなり、肝硬変に近い状態になったら必ず、画像診断(エコーやCTなど)を3−4ヶ月に一度は受けること。 乳がん(女性の死亡原因の第5位) 比較的若い女性に多いのが特徴であり、その点において若い女性は特に気をつけなければならない癌である。女性での罹患率が一位にもかかわらず、死亡率は五位であることから比較的予後のよい癌といえる。40歳を越えたらマンモグラフィーを年に一度は受けよう。胃がんと同様早期ならさほど怖くない。 膵臓がん(男性の死亡原因の第5位、女性の第6位) 早期に見つけることが困難で、さらに手術できても、予後のもっとも悪いがんである。生活から一生懸命防ごうとしても難しい。ただ、2センチ以下の膵癌で、リンパ節転移がなければ比較的予後がよいことが知られている。命が助かるほど早期で発見しようとすると、スクリーニングでは腹部エコーしかない。腹部エコーの描出は、太りすぎず、やせすぎないという体格が重要で、特に太りすぎは描出がよくない。助かるほど小さい状態で見つけるためには大変である。 膵臓がんといわれたら命は9割はない。命が助かるほど、早期に発見するためには腹部のエコーを6ヶ月ごとにすることであり、自分の体格を太らせないことである。そこで少しでも疑いがあれば、マルチスライスのCTで造影検査をしたり、超音波内視鏡検査を受け、早期に病気を確定すること。 食道がん(男性の死亡原因第6位、女性は10位以下) 粘膜がんで、見つけることができれば予後はよい。そのために上部消化管内視鏡を一年に一度は受けること。発生させないためにはタバコとアルコールは控えること。 タバコとアルコールを控え、一年に一度胃カメラを受けること。 前立腺がん(男性の死亡原因の第7位) 前立腺がんは比較的予後のよい癌であるが、最近発生数も死亡数も上昇している。血中のPSA(前立腺特異抗原・正常範囲は4以下)を測定し、異常値があれば泌尿器科で精査をすること。 55歳を越えたら、一年に一度、血中のPSAを測定すること。 胆嚢がん、胆管がん(男性の死亡原因の8位、女性の7位) 半年に一度の腹部のエコーと採血で早期の胆のうがん、胆管がんを発見しよう。 |
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