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経鼻内視鏡は胃カメラの革命である

 当院では、平成18年1月から経鼻内視鏡を導入しました。使ってみて本当に驚いたのは、口からのカメラに比べ、明らかに患者さんが楽なことです。この驚きは、長年胃カメラを行っている術者か、何度か胃カメラを受けられた患者さんにしかわかりません。体の中に異物を入れるのですから、つらいのは当たり前ですが、つらさの次元が違うのです。嘔吐反射がない、カメラ中でもしゃべれるので、患者さんの訴えを聞くことができるなど、数々のメリットがいわれますが、一言で言うと、患者の苦痛度の次元が違う。これが感想です。
 
 この方法は革命です。間違いなくスクリーニング胃カメラのスタンダードになっていくでしょう。経鼻内視鏡(経鼻胃カメラ)と通常胃カメラ
 
 よく騒がれるカプセル内視鏡は、小腸にはよいけれど、胃では使いものにはならないと考えています。胃は大きすぎるのです。2つのドアがあって、大きな暗い部屋に、小さな懐中電灯一個で、ドアからドアまで通り過ぎるだけでは、工夫しても見えないところが出来ます。しかも、その部屋の壁は、泡や緑の液で一部が覆われているのです。さらにカプセルカメラには、それが腸の中にとどまってしまう危険があります(実際に、そのような問題が起こっているのです)。もし、改良が加わって、胃の中がちゃんと観察できるようになっても、コストがかかりすぎます。カプセルは使い捨てだからです。リサイクルは出来ません。便の中から探してきて、それを再び口から入れることは、たとえキチンと消毒しても、気分的にできないからです。カプセル内視鏡は、観察の面だけでも、どう工夫しても、今の胃カメラを越えられないと考えています。さらに、胃カメラは観察だけでなく組織を採取できるし、胃液も採取でき、血も止められるのです。

 最終的には、組織も採取が出来、空気も入れることが出来、吸引も洗浄も可能な、より細いカメラを、楽に胃に入れれるのであれば、それが一番よいのです。細いことは重要ですが、経口では、いくら細くてもつらさが残ります。経鼻ほどのつらさの軽減はありません。咽頭の反射は、口から入れるとどうしても起こってしまいます。

 では、経口胃カメラはなくなっていくでしょうか?
 
 いえいえ、口からのカメラも残っていきます。経口内視鏡は太いが故に、鉗子が通る穴も太く、処置に関しては経鼻内視鏡には取って変わられないでしょう。まだまだ、画像も経鼻よりきれいです。しかし、通常の胃カメラがバリウム検査の多くの仕事を奪ったように、今度は、経口胃カメラの担っていた多くの役割が、経鼻胃カメラに移行するでしょう。また、通常の経口胃カメラからは奪われなかったバリウム検査の役割の多くが、経鼻胃カメラに移行するような気がします。

 なぜなら、胃カメラの欠点であったつらさ、これが大幅に減少しているからです。検診にバリウムの胃透視を希望される多くの人は、カメラがつらいものだから、とりあえずバリウムと考える人も多いのではないでしょうか?

 市民検診で、無料、あるいは、安価で、胃の検査をうけることが出来る、というメリット以外に関しては、スクリーニング検査としての、バリウム胃透視検査のメリットはすでになくなったのではないかと考えています。

 しかし、まだ、バリウム検査がなくなる訳ではありません。バリウム検査の残ったメリット、すなわち俯瞰図のように遠くから全体を見渡して、病変の位置や範囲を確認する、というメリットは内視鏡検査が取って変われないものです。それゆえ、胃の手術には今でも透視が必須なのです。

 経口胃カメラ、経鼻胃カメラ、バリウムを用いた胃透視はそれぞれ、特徴があり、短所と長所があります。当院ですべて施行可能です。コストやその人の特徴にあわせて検査を受けていただくことが出来ます。

 経鼻内視鏡は経口の高詳細型の内視鏡にくらべ、画像が落ちることや(動画ではさほど問題はないと考えますが、静止画はやはり差があります。)、胃液の吸引がどうしても遅いこと、生検の材料が小さいこと、時間がどうしても長くなること、前処置に時間がかかること、鼻中隔湾曲の強い人などには出来ないなど、まだまだ改良の余地は沢山あるかもしれませんが、改良へのはっきりとした方向性が見えています。方向性がはっきりしている時の日本の企業の優秀さは歴史が物語っています。

 ここ数年、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の登場で、消化器内視鏡による治療に革命が起こりました。経鼻内視鏡は観察の革命です。これは内視鏡検査を受ける際に一番のハードルだった「胃カメラはつらいもの」という思いを、きっと取り去ってくれるでしょう。関連ページ  黒川醫院での胃カメラ

 当院はフジノン東芝ESシステム株式会社の内視鏡を使用しています。経鼻内視鏡についてもっと詳しく知りたい方ははフジノン東芝のホームページまでどうぞ。
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